『宇宙戦艦ヤマト』とラジオの思い出<第10回>
次に『ヤマト』が大々的に取り上げられるのは、1980年6月6日。
『ヤマトよ永遠に』の4時間生ドラマが放送されたのである。

『さらば宇宙戦艦ヤマト』の際も公開の2か月以上前にラジオドラマが放送されたが、その時は中盤あたりまでの紹介。ところが今回はクライマックスの手前、敵母星(=未来の地球)に一人残ったサーシャ(真田澪)が、旅立つヤマトを見送る所までドラマ化されたのだから、ファンへのサービスと同時に、新作への自信の表れと見ることが出来る。

更に劇中に流れる音楽に、新曲が多々あったことも予想外だった。
『さらば』ラジオドラマ版では、全て旧作からの流用音楽(一部「交響組曲」含む。テレサのテーマとして使われていたのは、「交響組曲」の「スターシャ」)で賄っていたが、この番組では暗黒星団帝国関連などに新しいメロディーが使われていたのである。
ファンの前に新作の内容が本格的に紹介されるのはこの時が初めてだったが、ここまで準備が進んでいたのか、というのが大きな驚きであった。
またこの時点で、既に秋からTVシリーズが始まるとのリップ・サービスも。

流石に新登場キャラクターのキャスティングは流動的で、聖総統が小林清志だったり、カザンやグロータスらは変更になったが(正式キャスト未決定だったのか、それとも何らかの理由で降板・交代があったのかは不明)、それでもサーシャ(澪)の潘恵子、アルフォン少尉(この時点での名称は”キーマン少尉”)の野沢那智、山南艦長の小林修、加藤四郎の神谷明(このキャストだけは変えてしまってはキャラクターの存在意味がなくなってしまうが)、ナレーターの羽佐間道夫らはこのまま起用された。

ちなみにこのラジオドラマ版、後に秋から春にかけて放送された「ラジオまんぱくコミック・ザ・ベストテン」という番組内で再放送されているが、1時間番組なので当然ながら短縮版である。(e)