「公園」


夜のバナナ公園には小さな小さな爆弾が仕掛けられている
住宅地との境界線に鉄条網が張り巡らされるように
バナナ公園は静かに侵入者を待ち構えている

隣人に見つからないよう夜にペットを散歩させている
その犬は直射日光を浴びずに咆哮を押し殺している
そして街路灯の下で全力で走りだす

こどもらが遊んだあとには切り刻まれた花や葉が散らばっている
途中で止めたデッサンのように形になれないまま萎れていく
それはやがて大人になるとの約束を交わすように
不完全な環状を描いている

ベンチに座る二人は妥結点のない話しを続けている
その前を正確なリズムを刻みながら約6分30秒おきに
ジョギング走者が駆け抜けていく
そこには到達点がないことを噛みしめながら
約6分30秒ごとに3名は周回を重ねていく

一匹の猫が見回りをするようにフェンスをくぐりぬけてくる
花壇に身を潜めるふりをするが敵はどこにもいない
砂場わきの立ち入り禁止の立て札や蛇口の外された水飲み場や
ワイヤーで固定されたブランコやシーソーが
昼間と同じようにじっとしているのが見えるだけだ

少しためらいながら誰もがバナナ公園を通り過ぎていく
いくつも仕掛けられた小さな小さな爆弾を避けながら通り抜けていく
でも明日それを自ら爆発させてしまうかもしれないことを
みんな知っているのだ

2003.03.31
ヒラク


※ウィンドウを閉じてお戻りください。